「俺の家の話」8話感想【踊介ってもしかしてかなりメンタル強い】※ネタバレ有

もう俺の家の話がクドカンドラマの同窓会状態。

佐藤隆太をちょい中のちょいの医者で使えるなんてクドカンしかいない。
佐藤隆太も多分クドカンドラマじゃなきゃあんなちょい中のちょい役で出ない。

しかも今週は塚本高史が出るって言うじゃない。
長瀬の花道がすごい。
今まで共演してきたあんな人やこんな人がこのドラマに出て、
多分長瀬も感慨深いものがあると思うんだけど、
もう私たちもよくわからない感情に振るえている。
漫画の最終回付近で1巻のストーリーに出てきたキャラが再登場みたいな、
ああいよいよいろいろ佳境に入って来てる
長瀬とドラマのクライマックスの準備をいそいそしてるんだなあ
って寂寞の思いですよ。
寂寞ってね、コブクロの歌聴いていつか使いたいなと思ってた。
まさに今だと思って満を持して使いました。


「この間のローストビーフの千倍うめえ」
と言いながらハンバーガーにパクつくジュジュの味覚はしっかりしている。
踊介の肉の旨味を全てかき消すような仰天ローストビーフを食べた記憶もしっかりしている。
ように見えるけど、実は脳の中では認知が進行していた。

寿一が覚えている限りでは寿三郎は1度も謡をとちったこともなかった。
だけど途中で忘れた。隅田川が途中から進まない。
これは観山家にとって寿一の衰えを決定づける衝撃的な出来事だったわけで。


でもね、そんな寿三郎の認知症
集中的にどうしようどうしようと狼狽していられないほど、
観山家にはヤバい事態が次々勃発。

まずは寿一がさくらと付き合っていることが踊介にバレた。
踊介、今までさくらの脈の1mmもない適当な対応を総スルーした挙句、
果敢にもプロポーズまでしようとした鈍感力の持ち主。
なのにどうしてこんなタイミングで持ち前の推理力の高さを発揮してしまうんだよ。
メッセージを送ってきた時間帯から相手を割り出し、
使っているスタンプで確信に変えるってお前。コナンか。金田一か。
その才能が悲しい。悲しいのに笑える。

「勘違いのスピードが早くて追いつけなくて・・・」
というさくらにも
「寄るなさわるな・・・この、おんな・・・!」
と韻を踏んで罵る芸の細かさ。
能のセンスはなくてもお笑いのセンスはある。
踊介は家に来なくなった。


それからOSDとバイトの不倫が舞が気付いた。
ゆめっちのあのSNSの写真は匂わせじゃなく、もうダイレクトに嗅がせてる。鼻っ面で焚き染めてる。
ほれ、ほれってむしろ鼻の頭辺りにぐりぐり。
いやむしろ匂いだけじゃなくて現物が出てる。丸出しになってる。

そして出てきたゆめっち、
こちらとこちらがご夫婦でしょうかって確認したくなるほど完全に似てた。同類だった。
不倫1つ起きただけで本当は家族の1大事。
だけどこのとき観山家を揺るがせたのはOSDの不倫ではなく、
舞が今まで観山家の女として非常に辛い思いをしてきた気持ちを吐露したことだった。
母は毎夜自分の部屋に来て父の不貞を嘆き、
家族には跡継ぎの蚊帳の外に置かれ、
父の隠し子であった寿限無に初恋の気持ちを抱き・・・

こうして文章にすると滅茶苦茶ヘビー。
寿一よりも寿限無よりもグレるべきだったのは舞かもしれない。
そして舞も家に来なくなった。


さらに、アキレス健断裂して寿一がいつも中心になって行ってる介護を寿限無が担当。
家族の洗濯せっせと干したり、「親父、それ食ったら風呂な」「はいはい風呂行くぞ風呂」っていい感じのタイミングで風呂に連れてったり、
この前までの反抗期を考えると本当に奇跡のような甲斐甲斐しさなのに
寿三郎が「やっぱり寿一がいい」とか言うから・・・
寿限無もキレて出て行った。

観山家は皆ナチュラルに笑いに走る遺伝子が組み込まれていると思っていい。
でもそもそも1つ1つの問題がそれでドラマ1クール作れそうなほど重い。


そんな中起きた寿三郎の徘徊騒ぎ。
実際は徘徊じゃなくて、忘れた「隅田川」の謡を思い出せるんじゃないかとガチの隅田川を見に行っただけだったんだけど。そして見事思い出したんだけど。

隅田川沿いで1人ポツンと川を眺めてた寿三郎が寿一のビデオメッセージを発見し、
「さくらさんと結婚する」と言ったときの「ほぉー」という声と反応。
あの中には驚きとか寂しさとか嬉しさとかいろいろな気持ちが詰まっていたように思う。
自分が好きだった女性と自分の大切な息子が結婚することへの形容しがたい気持ち。

最近の寿三郎はあちこちで火遊びしまくってたツケが露呈するたびに観山家に新たな火種をくべる炎上ジジイになってたけど、嬉し気に息子からのメッセージを見る姿はただ人の親でした。


そしてある日の朝。
足の怪我をしている上、家族も皆家に寄り付かなくなり、
介護が十分にできなくなった寿一は寿三郎に施設への入所を薦めた。
飯食ったら出掛けようって。嫌だったらいいけどって。
そんな寿一の言葉に嫌がる素振りもなく応じる寿三郎。

ジジイカーなんて嫌だとごねていたこともあった。
病人扱いが嫌だとごねていたこともあった。
でも今、寿三郎はこの仕方ない状況を素直に文句1つ言うことなく了承した。

「お前と2人っきりよりはマシだよ」と、寿一への気遣いまで見せて。

自分と同年代の高齢者が何人何十人と集まる施設。
折り紙を折ったりお菓子作りをしたり、今までの生活ではしてこなかったようなことをして過ごす。
家族がいない場所で生活を送る。
何もかもが別世界のような環境で暮らすことへの不安を表に出すこともなく、にこやかに受け入れる。

寿三郎は自分を送り届けて帰る寿一に拳突き上げて「ブリザーーーード!」って叫んで笑ってた。寿一も腕を挙げて答えてた。泣きながら。
そして私は寿一よりさらに泣いた。

寿三郎は寿一のメッセージを見て、わからなかった「自分の死に方」をなんとなく見つけたんじゃないだろうか。親の愛。

ああ観山家に幸あれ。
取り敢えず今日の塚本くん楽しみ。今日も22時から素敵な同窓会。